ザフト軍製 核エンジン搭載新型モビルスーツ
ZGMF-X10A FREEDOM

 C.E.71・01・25にヘリオポリスで奪取に成功した地球連合の4機の新型MS「GAT-Xシリーズ」は、後にプラント最高評議会長に就任するパトリック・ザラに2つの大きな事象をもたらすことになった。1つはPS装甲・MS用ビーム兵器・ミラージュコロイド等、開発に遅れが出ていた分野の技術データ。そしてもう1つは「ナチュラル侮り難し。そして赦すまじ」という、急進派の彼にとって政治側面において非常に有利な物的証拠が手に入ったことである。
 当時国防委員長であったザラはこの事実を最大限に利用した。第2期MSシリーズの設計を終了した直後の3大(ハイライン・アジモフ・クラーク)主要設計局に加え、戦艦の設計を主としていたヴェルヌ・ジュール設計局まで動員しザフトの命運をかける新型MSの開発を命じたのだ。
 ZGMF-X09A・X10Aの両機の本体は3局が合同で開発にあたった「ZGMF-600 ゲイツ」を基本ベースとして、これに鹵獲した連合製MSの技術(主にPS装甲や高出力ジェネレーター等)を取り入れ完成させた。元々ゲイツは実際にロールアウトした物より設計段階でかなりハイスペックな機体として計画されていたのだが、量産面で問題がありやむを得ず切り捨てた部分が多かった。しかし、オンリーワンとして開発されるフリーダム・ジャスティスにはその心配はなく、技術者が望んだままの状態で実現されることになった。が、この機体にも大きな問題があった。動力源である。
 シーゲル・クラインに代わり、評議会議長となったザラ自らザフトの威信をかけ命名した「自由」と「正義」には、それに相応しい絶対的な力が必要であった。
 武装自体はMMI(マイウス・ミリタリー・インダストリー)やMA(マティウス・アーセナリー)等から既に複数の試作が提供されていたのだが、火器運用実験機によるデータを分析した結果、PS装甲と併用した場合(それ以前に複数の強力な火器を同時に使用した時においても)とても実戦に耐えうる状態では無かった。
 だが、この時点でその問題を一挙に解決する手段が実は存在していたのだ。評議会議員であり機械工学の権威であったユーリ・アルマフィが中心となって開発したNジャマーキャンセラーの搭載であった。しかし、穏健派であったユーリは核の復活に難色を示し再三の要請を拒んでいた。が、パイロットとして参戦していた息子ニコル・アルマフィの戦死を切っ掛けにNジャマーキャンセラーの使用を決意した。
 こうして、コーディネーターにとって禁断ともいえる核の力を得、最強の機体として誕生した2機(この時、極秘でプロヴィデンスの開発は進んでいたが)のMSはパトリック・ザラの理想、ナチュラルを排し純然たるコーディネーターだけの世界構築の輝かしい尖兵となった。いや、なるはずであったのだ・・・・・・。

 

 

 

こいういう細々とした設定って大好き